【遺産分割協議】多数の不動産をめぐる遺産分割協議を解決した事例
相談前
- 亡くなった被相続人は,多数の不動産を所有する大地主であり,自宅のほか収益物件を複数所有していました。
- 相続人は,兄弟2名でしたが,不動産の分け方が決められず,双方が相手に不信感をもってしまうような状況でした。
- 話し合いがまとまらない間に,固定資産税の納付や修繕費用の支出,不動産から生じる賃料の扱いなど,決めなければならない問題が複数出てきてしまい,当事者同士での話し合いが困難となり,ご相談いただくことになりました。
相談後
不動産評価額
複数の不動産会社の査定をとり,個別の不動産の評価額を整理しました。
不動産評価額には複数の査定方法がありますが、収益不動産が多くあったため、不動産業者の査定を用いました。
取得の調整
相手の取得希望とご依頼者様の取得希望をそれぞれ算出し,手控えをもったうえで,取得する不動産の交渉を行いました。
最終的には,相手の希望する物件のひとつを譲歩するかわりに,少し多くの不動産を取得することで終着することができました。
このような取得の調整の大前提として,不動産評価を確定していることが必要となります。
相続開始後の不動産の収益・管理をめぐる論点
相続発生後からの賃料収入や費用の支出も無視できないくらい大きかったため,これらの金額についても合意時まで計算し,精算後の最終的な不足分は代償金の支払にて終着できました。
弁護士のコメント
多数の不動産が存在する場合の複雑さ
多数の不動産がある相続では,不動産の評価,取得の希望,場合によっては一部売却すべきかどうかなど分割方法に関する意見が合わずに難航することがあります。
また,賃料収入や不動産にかかる費用なども複雑化する要因のひとつであると思います。
複雑な事案こそ遺産分割の原則的な進行にしたがってひとつひとつ問題を整理していくことが重要であり,今回のご依頼ではそのお手伝いができたかと思います。
不動産評価の算定方法
分割方法の協議に移る前に時価が問題となる相続財産は,相続人間で評価を合意する必要があります。
本件では,不動産会社からの無料査定を複数取り寄せ,平均値をとることで評価合意をすることができました。
不動産が相続財産としてある事案では,このような不動産の評価額の定め方自体が争われることも多くあります。
相続開始後の不動産の収益・管理をめぐる論点
収益不動産が複数ある場合には,賃料収入や修繕管理をどうすべきか,またその修繕費用などの負担をどうするか,固定資産税などの支払いをどうするか,など,遺産分割に付随するさまざまな問題が生じてきます。
これらの派生した論点から本体の遺産分割協議が難航することもありますので,ひとつひとつ整理して議論を進めていくことが肝要です。