【遺産分割協議】海外に居住しており相続財産を含め状況が何も分からないところから、調査をし、他の相続人と交渉を重ねることで希望する分割案にて合意できた事案

相談前

  • ご依頼者様は、父方の祖母が亡くなり、父が先に亡くなっていたため代襲相続人となりました。他の相続人は父の兄姉3名(叔父、叔母)でした。ご依頼者様のご両親は離婚されており、母に引き取られたため、それ以来父方の親族とは全く連絡を取り合っていませんでした。
  • ご依頼者様のところに相続人の一人である叔父から連絡がきたものの、他の相続人とは既に話がついているとのことで、相続財産の内容も知らされず、ただ遺産分割協議書にサインするよう求められたため、どのように協議を進めればよいかご相談に来られました。

相談後

ご依頼者様は、被相続人や他の相続人と疎遠であり、状況が全く分からないところで遺産分割協議書にサインを求められ、そもそも自分が遺産を取得することができるのか、できるとしても遺産の内容も知らずどのように遺産分割協議を進めて良いかわからない、ということがお悩みでした。
ご依頼いただき、まずは、他の相続人に連絡を取り、相続財産の開示を求め、平行して相続財産調査を行いました。そこから、ご依頼者様の希望する分割案をご提案し、その内容で全員にご納得いただくことができました。

弁護士のコメント

海外に居住する方の相続権

「法の適用に関する通則法(以下「通則法」といいます。」は、様々な法律関係について、どの国の法律に従うかを定めています。
相続については、通則法36条が「相続は、被相続人の本国法による」と定めており、被相続人(亡くなった方)が日本人である場合、相続人の範囲、相続財産、相続分その他については、日本法である民法が適用されることになります。
そこで、どこの国に住んでいるかは関係なく、民法により相続人となる方には相続権があります。そのため、海外に居住している相続人を遺産分割協議から除外して合意しても当該合意は無効となります。

遺産調査

海外に居住している場合、日本国内に居住する被相続人や財産の状況について何も分からないということがよくあります。このような状況のもと、国内に居住する他の相続人から、遺産について詳しく知らされないまま、分割協議書へのサインを求められる事例は少なくありません。
このような場合、まずは他の相続人に対し、遺産に関する資料の提供を求めます。そのうえで、当該資料を精査し、市区町村の役所、金融機関へ追加の照会をかけて相続財産を調査することになります。
他の相続人から資料を得られない場合でも、遺産に不動産が含まれる場合には司法書士、相続税の申告が必要な事例では税理士等、他の相続人が相談している専門家が資料を保有している場合があります。本件についても、他の相続人が相談していた司法書士から資料を取得することができました。
 なお、他の相続人から全く情報が得られない場合でも、被相続人の住所地等から市区町村や金融機関へ照会を掛けることで、ある程度調査することは可能です。

遺産分割に必要な書類(海外居住者特有の問題)

遺産分割協議が整い遺産分割協議書を作成する場合、通常、相続人の住民票(戸籍の附票)、印鑑登録証明書を添付します。
しかし、海外には、一部の国を除き、印鑑証明の制度がありませんので、海外居住者については、押印の代わりにサインで対応することになります。そのうえで、日本領事館等の在外公館にて、遺産分割協議書に相続人が署名した旨の「サイン証明書」をもらい、印鑑登録証明書に代えて、これを遺産分割協議書に添付します。
また、海外に居住する方については、国内に本籍が残っていたとしても、戸籍の附票にも住民票にも、海外の住所は記載されません。そのため、戸籍の附票や住民票に代わる書類として「在留証明書」が必要となります。この在留証明書は、現地の日本領事館にて取得する必要があります。
上記のとおり、海外居住者の相続手続について、一般的にサイン証明書や在留証明書が必要となりますが、金融機関により、上記以外の書類が必要な場合、サイン証明書についても様式が決まっている場合がありますので、事前によく問い合わせておく必要があります。

多くの場合、日本に帰国しなくても解決することが可能です

当事務所では、海外居住者の方であっても、オンライン相談、電子署名、郵便等の方法を用いることで、多くの場合、帰国しなくても相続問題を解決することができます。
遺産分割協議が奏功せず、調停・審判と進んだ場合でも、代理人として弁護士が出席することで、必要な手続きを行うことができます。当然ながら、この場合は、オンライン面談、メール等を通じて、ご依頼者様に説明や方針の協議を行い、可能な限りご依頼者様のご意向を反映できるよう努めてまいります。

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